1.いてもいい場所 |
李・青山華 |
いてもいい場所というのは、そこにいても、誰にも文句を言われない場所という意味である。どこだって、いたけりゃいればいいじゃないかという声もあるが、それでは駄目なのだ。そこにいて、何となく居心地が悪いと感じれば、そこはいてはいけない場所なのだ。
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いてはいけないと感じてしまうのには、様々な要因がある。大きく言えば、人・物・空気だろうか。人は分かりやすいだろう。歓迎されてもいやだし、邪魔扱いされてもいやだ。そこにいて、ああいるのか、と思うだけでいてもらえればいいのだが、人がこういう風に受け入れてくれるというのは、とても難しい。たとえ生まれ育った家族の家でも、独り立ちした後はそうはいかない。目には見えないが、薄い膜のようなものができて、稀人になってしまう。
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物はわかりにくいが、そこにあるものが拒否を感じさせることもある。それは遊具だったり、石碑だったり、歪んで聳える木だったり、コンクリの橋だったりする。別に何ということはないのだが、息苦しくなったり、そこを早く立ち去りたくなったりする。それはその物の事情か、こちらの精神状態かはわからないが、そういう瞬間はあるのだ。
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空気は、これこそこちらの気持ちだけなのだろうか。そうとも言い切れない気もする。
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そんな場所を求めて、ずっと旅をし続けている。しかし、子供ができるとさらに難しくなた。子供を守ろうという気持ちがあるのか、色々なことに、つい必要以上に反応してしまうのだ。それでは、いてもいい場所を見つけるのは難しい。
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04.08.25 |