観光農園 |
李・青山華 |
観光農園にはあまり行かない。何度か行ったことはあるが、いつも場末の売春宿に 来たような気分になってしまうのだ。 誰とも知れない人の慣れていない手つきで、おどおどと、時には荒々しく 引き千切られるために育てられている果物たち。 自分の前に、ここを訪問した者に吐き出された種や外皮がそこここに散らばっている。 観光バスで乗り込んできた大勢の人間を一度に飲み込み、園内に入り込んだ者は、 みんな血走った目で、自分のものにするべき相手を捜している。 見つけた途端、手が伸びて、そのものを引きちぎる。 キャパシティが求めてくる人間たちと引き合わず、瞬く間に蹂躙され尽くしてしまう農園もある。 そんなところでは、まだ熟していない、青い実すら引きちぎられ、味わわれて、吐き捨てられ、 地べたに放り出される。 植物は発する声を持たないために、その残骸は静かに地面に沁み込んでいく。 人間の欲望の、満たされたいという欲求が強く渦巻いているという点では、 本当に売春宿と変わりはない。 そして、今日も農園は、昨日の客たちの残した残滓を掃き清められて、新たな客を待っている。 |