微量毒素

persons おはなし

涎 (よだれ)
李・青山華


暖かい日、給食の終わった後の授業時間。

もちろん十分に注意して気を引き締めていたのに、
いつの間にか机に突っ伏して眠っていた。

昨日そんなに夜更かししたわけでもないのに、
思い切り爆睡してしまった。

突然感じた衝撃に驚いて身を起こした。
先生が丸めた教科書で頭を叩いたらしい。

目を落とすと、机の上に水溜りがある。

おまえ、本当に熟睡していたんだな。

先生の言葉にクラス中が沸き返る。
ようやくわかった。これは、私のよだれだ。

人生の中で取り返しのつかない恥をかいてしまった私は、
その水溜りに身を投げた。

さようなら、皆さん。


05.06.15

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