微量毒素

おはなし

長すぎる昼寝
李・青山華

一度目が覚めかけて、そこでもう一度寝てしまうと、昼寝は長くなる。
起き上がると、外はもう暗くなり始めている。
明るいうちに目を覚ましてするはずだったことは、全てもうすることが出来ない。

子供のときは、両親に起こしてくれなかったことをなじる。
親は、本人の責任を云々するが、子供がなじりたいのは、
具体的な時間の損失ではない。
気付かぬうちに失われた、時間の重みを取り戻したいのだ。
だが、それはもう決して取り戻すことは出来ない。

大人になっても、感じる気持ちは変わらないが、その気持ちをぶつけ、
なじることの出来る相手がいない。

人は、だから結婚するのだ。

05.02.16

おはなし

微量毒素