微量毒素

おはなし

何かの廃墟
李・青山華

廃墟は、夜も廃墟のままである。
しかし夜に訪れてそこを見るものは、そうは考えない。
そこに過去の残滓を見る。

いろいろと思い馳せながら見るものの目には、何かが見えてくる。
そこがかつてそうであった時には、けしてあり得なかった景色が。
まるで本当にあったことのように、ありありと。
そして廃墟はさまざまな異名を奉られることとなる。

しかし、廃墟はただまどろんでいるのだ。
やがて来る本当の終末まで、じっとまどろみ続けている。
彼は、本当に死んでいる。
決して活性化することはない。

05.03.23

おはなし

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