日溜まり |
李・青山華 |
まだ寒さの残る早春の庭に猫がいる。彼は目を細め、すっかりとくつろいでいる。 窓越しに見る猫は燦々と照る陽射しの中、丸くなって目をつぶっている。 目を細め、充足した様子の猫を見ていると、こちらものんびりとした気分になってくる。 驚かさないようにそっと動き、彼の丸い頭を眺めやすい位置に腰を移す。 カタン。 おっといけない。動いたはずみに立てかけておいた本が倒れてしまった。 目をやると、猫が尻尾を聳やかして立ち去る後姿が見える。 猫は人の間に在りながら、野生を忘れることのない動物だ。 リラックスしているように見えても、猫は少しも油断していない。 これは不用意に騒音を立てたこちらが悪いだろう。 まあ、それほど残念がる必要はない。まだ風は寒いし、陽だまりは暖かい。 彼はまた帰ってくるだろう。お気に入りのその場所へ。 |