微量毒素

おはなし

れんげ
李・青山華


広い野原一面に、鮮やかな紫が広がる。
奇跡のような色彩の中、近くの幼稚園の子供たちが歩く。

花など目に入らず走り回る子がいれば、
注意深く踏まないように気をつける子もいる。

子供たちが帰ると、野原はまた静けさを取り戻すが、
風に揺れるレンゲたちを見ていると、とても賑やかに感じられる。

思わず花の中に入り、自分も紫の景色の中の点景となる。
レンゲの群れの中では、一人きりでも少しも寂しさを感じない。



おはなし

微量毒素