閉ざす海と続く海 |
李・青山華 |
島国に在るということは、目の前にした海に二つの役割を見ることができる。 そこから広がる世界へと続く、道としての海と、 そこを越えることの難しい、閉ざされた門としての海。 閉ざされた門としての海は、国を鎖すという、世界でも稀に見る国事を、 300年もの間為すことが出来た背景である。 海が閉ざすものでなければ、それは為し得なかった。 その期間は日本人にとってモラトリアムの期間となり、 多くの独自の文化を形成することが出来た。 そして海を通じて世界とつながった今は、海はその向こうに無限の可能性を含む、 人を導く道としての意味も再認識させられた。 西方極楽浄土を求めた昔から変わらない憧れの地へ導く道としての海。 それでも、やはりその道は険しい。 海の道は常に危険をはらんでいるが、それでも人は海へ出たのだ。 |
05.07.20 |