海は常に狂気を孕んでいる |
李・青山華 |
その浜で遊ぶものには見えないが、 船をかって沖へ沖へと進んでいくものにはその入り口が見えてくる。 しかし突入していくそこは、 その人間の人生を破壊しかねないほどの誘引力と狂気に満ちている。 それを怖れて、多くのものは自らの拠るべき港へ引き返していく。 海を自由に馳せ巡るのは、その狂気を飼い馴らすことの 出来たものたちに限られるのだ。 彼らは実益だけでなく、 無限に挑戦するものだけに許される甘美な絶対の無力感と、 どこまでも上って行く高揚感を常時得ることができる。 その故に、彼らは体が許す限り、そこから離れることはない。 |
05.07.20 |