海の孕むもの |
李・青山華 |
海の持つその無限の感覚は、海水浴に訪れた時でさえ味わうことができる。 今、自分の足を嬲る波は、はるか世界と一にしてつながっている。 その瞬間、圧倒的な世界の大きさを感じて、めまいを感じるかもしれない。 足の下の砂を攫う波は、人がそのままの形で達することの出来ない深みまで、 今、そこにあるものを引き込んでいく。 人の目が、いや、日の光すら決して届くことのない深みに何があるかを 人は知ることがない。 それは、そこに属するもののものだ。 そして海の生命の中には、その世界と我々の世界をそれぞれ知っているものもある。 彼らがいったい何を知っているのか。 それを知ることは人間にとって望ましいことではないのかもしれない。 |
05.07.27 |