灯火 |
李・青山華 |
黒い闇の中、遠いところに灯りが見える。 その灯りは寒々とした空気の中で震えるように見える。 そこまでたどり着くことが出来れば何かが満たされるような気がする。 しかし、足はそちらに向こうとしない。 そこにたどりついて満たされる代わりに、 ひどくいやな思いをすることになるかもしれない。 その気持ちが足をそちらに向けさせようとしない。 もしかしたら全てが満たされるかもしれないのに。 アンビバレンツの中でたゆたい、結局足はそちらには向かない。 背後のどこかに灯りの存在を感じ、痛いほどに憧れながら、 ひたすらに深い闇の中へ足を進めていく。 |
05.09.28 |