微量毒素
おはなし

Autumn

涼しい風

李・青山華
 夏が終わって、殺人的な暑さが去り、ともすれば開けている窓から流れ込む風が身震いを覚えさせるような時、なぜか身体の奥の熱が去らず、噴き出すほどではない汗に、肌がしっとり湿るような日がある。

 熱があるわけでもないのに、身体の奥、背中のあたりに滞る熱気は、夏にやるべきことをやらなかった心が、去った季節に怒っている、その熱なのかもしれない。
04.09.23
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