微量毒素

おはなし

夕焼け
李・青山華

夏の夕焼けは、常に明日を予感させる。

夕焼けは、明日の天気が晴れだということも教えてくれるが、それだけではない。夏の夕焼けは、明日が必ずくるということを、強く感じさせてくれる。夏の太陽は強く燃えており、その照り返しが空を彩る夕焼けは、終末を感じさせない、クラシック・ロックの音楽がよく似合うような力強さに満ちている。

秋の夕暮れは、終末を感じさせる。あらゆる生命が死へと向かう冬の訪れを知らせ、自らの身辺を整理するように囁いてくる。その残照も残酷なほどに赤く、そして見る間に黒く沈んで行く。

夏の夕焼けは、橙の色を基調として、黄色く、また紅色を織り交ぜ、空の薄緑や夜の紺色と混ざって、目にも彩なる絢爛豪奢さで、空の半分以上に広がっている。これは太陽が、明日も必ず私たちの元に訪れることを、私たちに約束しているのだ。

04.10.04

おはなし

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